女の子を信じられない話

僕は女の子に裏切られた経験があって、それ以来女の子を信じることができません。

 

さて、2行にしてタイトルを回収してしまったので、これからは今日食べたお昼ごはんについて…なんだい、もっとくわしく聞きたいだって?しょうがないね。

 

 

高3の夏休みが終わる頃だったな。1年間付き合っていた女の子から別れ話を切り出されて。受験勉強も忙しくなってたから、(僕はそんなに真面目じゃなかったけど)そろそろかなって覚悟はしてたんだけど。嘘。ずっと関係が続くものだと思ってた。永遠に。

 

受験もあるし別れよう、と彼女。ショックで一瞬理解できなかった。その場では受け入れたフリしたけど、LINEでは受験終わったら関係を戻そう、なんてしつこく食い下がってた。これが僕の悪かったところだな。反省してるんだよ、これでも。

 

ほかに好きな人ができた、と彼女。悲しくてしばらく理解できなかった。自分は完璧だと思っていた僕は『いや、でも僕のほうが…』とか、またもやしつこかったのを覚えている。本当に反省してるんだ。

 

君を好きだったことはこれまで1度もない、と彼女。今でも理解できていないよ。もう少ししたら理解できるんだろうか。完全にトドメをさされた。それ以来僕は崩壊し続けている。誰かの思考を追うのをやめた。

 

 

悔しかったから勉強した。僕は学年200人の中で下から10番とかだったけど、最後のテストでは学年80位くらいまで頑張ったし、現役でそこそこの大学に受かった。でも大学での生活は、周囲の輝きに気圧されて窮屈で、いつもフィクションの世界に逃げ込んでた。フィクションの人間は僕を裏切らない。仮に裏切っても、フィクションだもの。

 

4年経って、僕は少し成長した。自分も悪かったんだね、と彼女に謝ってる。キツく当たりもした。ごめんなさい。許してくれないよね。まぁ僕も許さないからそれでいいんだけど。

ひどい仕打ちを受けたいかりと、彼女に対する憎しみはもちろんある。だけど、未だに彼女のことが好きな気がするし、思い出すと頭の奥がチカチカする。同じ名前の女の子と出会うと息が詰まる。これから付き合うすべての人が、僕の中にこうやってゴーストを残して去っていくとしたら。容量がオーバーするよ。どう削除すればいいんだい。

 

どんなに優しくしても、いつかは壊されるかもしれない。今度は逆に僕が壊してしまうかもしれない。相手に僕というゴーストを残すのも胸が痛いじゃないか。どうしようもないな、僕は。

 

いま付き合っている女の子はそれ以来はじめての彼女で、聴く音楽も、着る服も、思想も、僕とはズレてる。でも女の子に感じる息苦しさみたいなものを、感じずに済むんだよね。それが良くて。失礼かな。失礼だったら今度ごはんおごるから許してよ。美味しい中華を見つけたんだ。

 

彼女は「あなたしかいない」と言う。僕だって「君しかいない」と思う。けれど、それは誰かさんも言っていたんだよな。なにもかも隠すなとは言わないし、秘密がないのもナンセンスだと思うけれど、なにかどこかで偽っているなら教えてほしいんだ、早めに。僕の中にゴーストを残して去っていくのは、もう耐えられないよ。あ、君が去ること前提に聞こえたかな。そんなつもりじゃないんだ、ごめんよ。今度ドライブに連れていくから許してよ。とっておきの眺めがあるんだ。

 

あまりオチがつかないな。そろそろお昼ご飯の話をしていいかい?

今日のお昼に食べた学食のカレー、ジャガイモが大きくて美味しかったんだ。

 

このくらいの日々が続いてくれれば、僕はそれだけで幸せなんだ。

 

 

※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在するものとは関係ありません。